■日本の財政状況と私たち 〜 今後日本は、どうなっていくの? 〜  その6
 2004年、あけましておめでとうございます。
 さて、今年はどのような年になるのでしょうか?
 政治的には、イラク戦争に対しての日本の自衛隊が焦点になると考えられます。前回も書きましたように特に陸上自衛隊がイラク派遣された場合、自衛隊に対してのテロは勿論ですが、日本国内での大規模なテロの起きる可能性が非常に高くなります。
 また、財政的には年末に2004年度の予算が出ましたが、今までの借金体質を改善する姿は見られず、相変らずの国債頼み問題先送り予算といわざるを得ません。しかし、こちらも今年度あたりから膨大な借金の処理をどうしていくかという具体的な施策が始まってくるのではないでしょうか。
 ともかく、この2004年がいろいろな意味でのポイントの年になることは間違いありません。私たちは、少なくとも自分の資産をどのように守っていくのかもう一度真剣に考えるべきではないでしょうか。
 前回までのセミナーで金融資産の通貨分散、とりわけドルへの分散をすべきだと書いてまいりました。しかし、ドルだって大丈夫なのか?というご意見も多く聞かれますので、このことについて書いてみたいと思います。
●ドルは大丈夫なのか?
 まず、「ドルは大丈夫なのか?」という疑問は、「米国経済や財政が大丈夫なのか?」ということと表裏一体です。
 いろいろな報道や記事を見ていますと日本と同じように米国も危ういというような論調が多く見られます。確かに米国経済も万全ではないと思いますし、財政もこのところの戦争政策により悪化しているのは確かです。
 経済については、もし米国経済が悪くなれば、このことはすぐに日本に跳ね返ってくるということです。米国だけが悪くなるということは考えられません。日本経済も米国でもっているのであり、もし米国経済が大幅に悪化し、ドルが大暴落するようなことになれば、大打撃をうけるのは日本です。
●OECD加盟国での日米のシェア
 勿論、日米だけの問題ではなく、世界的な経済パニックになるのは間違いありません。
 下の図のようにOECD加盟国の中のGDP比率を見てもいかに世界経済における日米のシェアが大きいかわかります。
●国債残高の年間GDP比率
 米国の財政問題については、悪化したと言われていますが、日本との比較をご覧下さい。
 下の図は、各国の国債残高の年間GDPに対する比率です。年間のGDPに対し、日本がいかに身の丈以上の借金を抱えているか一目瞭然です。
 一方、米国は最近若干悪化していますが、GDP自体が大きいため、比率で見ればそれほどでもありません。
 国債残高が日本と同じくらい大きいと言っても、米国は経済規模自体が大きいわけですから単純に比較は出来ません。比率で見れば、先進国の中で決して悪い方ではありません。それより日本の方がいかに危ういかお解かりいただけると思います。

●世界の通貨のシェア

 さらに次の図をご覧下さい。
 世界の通貨のシェアですが、米ドルが世界の通貨の3分の2を占めています。
何を言っても世界の基準通貨は米ドルだということです。
 ご自身の資産をほとんど米ドルで持っているという方は、他の通貨への分散も考えるべきですが、ほとんど円でしか持っていない方は、まずは円と米ドルとの分散を考えるべきだと言うことがご理解いただけると思います。
●米ドルでの通貨分散
 これは余談ですが、イラクのフセイン大統領が拘束されたときも持っていたのは米ドルでした。また、北朝鮮の金正日も米ドル資産を大量に保有していると言われています。全て米ドルが基準です。
 最近、オーストラリアドルやニュージーランドドルを利率が高いからという理由で保有される方が多いのですが、いかに小さなシェアの通貨かということがお解かりいただけると思います。このような通貨は、経済的な変動が起きればすぐに大きな影響を受け、暴落したり急騰したり激しく動きます。
 したがって、投機の勝負で儲けるための通貨としてはいいのかもしれませんが、資産保全のために分散する通貨としては適切ではありません。
 やはり、金融資産の保全の第一は米ドルでの通貨分散、そして預ける先は、米国の格付けの高い金融機関ということになると思われます。

筆者:Progress International Consulting Co.,Ltd.
浅野 浩
asano@progress-international.com