日本の財政状況と私たち 〜 今後日本は、どうなっていくの? 〜  その15

 私たちの資産保全を考える中で、3つの大きなリスクということを前回書きました。
この中で政治的リスクについては、専門家ではありませんので、あまり詳しく書きませんでしたが、大きな変動が一気に起きるとすればこの部分です。
特に最近の北朝鮮の核問題を中心とした六カ国協議に関しては、国内では報道されない情報も多く、日本人にとっては隣国の問題であると同時に自分自身に降りかかる大問題であるにも関わらず、無関心な方が多いようです(最も知ったところでどうなるのだとも言われそうですが・・・)。

政治的リスク
 しかし、日本経済新聞の記事を読んでいるだけでも、かなり恐ろしい状況が見えてきます。特に核問題について、米国は北朝鮮との妥協点を見出す方向性はほとんどないように見受けられます。
また、一部情報によれば米国は北朝鮮への攻撃態勢を整えており、六カ国協議で完全決着がつかなかった場合、北朝鮮を空爆する可能性もあるということです。

 このような報道は、日本では殆どなされておらず、何を馬鹿なことを言っているのだと言われそうな雰囲気すらあります。しかし、もし万一でもこの危険性が表面化した場合、現在私たちの置かれている全ての状況が一変することは間違いありません。

 日本人は、政治的リスクについてあまりにも無防備なのではないでしょうか。一度、「もし米国が、北朝鮮を攻撃したら」という状況を想像いただき、どのようなことが起きるかを具体的に想定してみてはいかがでしょうか。

 今、多くの皆様が生命保険に加入されていると思います。万一の死亡というリスクをヘッジするために加入されているわけです。考えてみれば、皆様の死亡リスクは、米国が北朝鮮を攻撃するリスクと比較した場合、可能性としてはどちらが高いのか、わからないのではないでしょうか。であれば、生命保険に加入するように米国が北朝鮮を攻撃したときのリスクヘッジも考えるべきなのではないでしょうか
悪徳運用会社や詐欺事件
 さて、話は変わりますが、最近また資産運用を騙った詐欺事件が報道されています。
 今回は、俳優の渡辺裕之氏が、総額約1億2000万円の詐欺被害に遭っていたことを明かしたことから、テレビ・新聞の芸能欄でも記事になり、ご存知の方も多いと思います。
 私どもが考える資産保全からは全く対極にある話ですが、何が詐欺なのか、危ない話なのか判断がつかないという方もみえますので、大まかな見分け方を書いてみたいと思います。

(1)運用利回りが、べらぼうに高い。
一般的な目安として、元本保証の金融商品の場合は国債の利回りが目安となります。
以下のような常識外の利回りを謳い文句にしているものは、詐欺の可能性を疑って下さい。
◆ 円建てで5%以上の利回りを保証。
◆ 元本保証で10%以上の利回りを保証。
◆ 為替の投資で10%以上を保証。
◆ 2〜3年で倍以上を保証。

(2)パンフレット類が非常に立派で、本社も超一等地で立派なオフィスを借りている。
(3)海外の投資先なのに、送金先が日本の銀行。
(4)海外の投資先なのに、契約書やパンフレット、運用報告書が日本語。
(5)担当者にいろいろ質問をすると嫌がられる。或いは、説明できない。

 まだ他にもいろいろあると思いますが、上の5点は、実際にあった悪徳運用会社や詐欺事件の例です。
安全性が大事
 疑問に思われる場合は、ご自身で調べられたり、直接会社を見ていただくことが必要かと思います。以前、香港で運用しているという話を疑問に思い、香港の在住の方にその会社を見に行ってもらったところ、全く運用などしておらず詐欺だということが事前に分かったケースもあります。また、インターネットで調べていただくことで、確認できることもかなりあると思います。

 最近、皆様から「さすがにこれだけ低金利が続くと少しでも運用の良い先を探したくなる。」というご意見をよくお聞きします。しかし、運用が良いという大前提に、必ず安全性があるはずです。「すごく良い利回り」を見せられると、つい安全性が疎かになることも多いようですのでご注意下さい。

浅野 浩
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