■日本の財政状況と私たち 〜 今後日本は、どうなっていくの? 〜  その5
 都合により、1ヵ月お休みをいただき、申し訳ありませんでした。
 この間、総選挙があったり、日本にとってのイラク情勢が大きく変化したり、足利銀行が国有化されたりと大きな政治・経済ニュースが飛び交っています。
 しかし、一貫して言えることは、今まで4回にわたり書いてきました資産保全の必要性が、目に見えて実感できるようになってきたということです。
 4回のセミナーで日本の財政状況がとてつもなく悪く、このままではどこかの時点で財政破たんが起きハイパーインフレが発生するのか、預金封鎖から財産税課税など大増税の方向に行くのか、どちらかの可能性が高いことをおわかりいただけたと思います。
 そのために金融資産の分散、特に通貨を分散することをお勧めしました。
 今回は、特に気がかりな問題がありますので詳しく書いてみたいと思います。
●イラクへの自衛隊派遣
 最近の政治・経済ニュースの中で一番問題となるのは、やはりイラクへの自衛隊派遣問題です。
  派遣の是非についてはいろいろなご意見もあると思いますが、今回のセミナーの主旨ではありませんのでここでは触れません。
 先日の外交官2人のテロによる殺害事件で私は背筋が寒くなったのですが、もし自衛隊がイラクに派遣され、そのために日本国内での「報復テロ」事件が起きたら、この国はどれほどのパニックを引き起こすのでしょうか。
 例えば、「報復テロ」で狙われるとしたら国会議事堂、皇居はもとより、新幹線、地下鉄など私たちが普段利用する交通機関などは全くの無警戒状態で格好のターゲットになります。以前のオーム真理教の事件を思い出せば明らかです。
●考えられる影響
 このような「報復テロ」が起きれば、経済に大影響が出るのは必至です。最悪の場合、以下のようなシミュレーションが考えられます。
  1. もともと大不況の中で無理やり上昇させられた株価は急落します。
  2. 金融機関は、多額の含み損を抱え一気に金融危機に陥ります。
  3. 金融機関から大量の国債が売却され、国債価格は急落し、長期金利は急上昇します。
  4. 一般企業もさらなる不況と金利の急上昇により、経営が圧迫され倒産が多発します。
    (この時点で「預金封鎖」などの処置が取られ、今まで先送りされてきた日本の財政赤字を一気に解消する動きの出る可能性があります。)
  5. 円は売られ大幅な円安状況となり、食料品、石油などの資源等、輸入に頼っているものから高騰し、大きなインフレが押し寄せます。
  6. 1〜5.の循環・・・。
    そして私たちの生活は、・・・?
 これらのことは決して空想ではなく、自衛隊がイラクに派遣されれば当然起きるべきして起きる最も身近な問題として考えるべきではないでしょうか。それも年内に派遣される可能性だってあるのです。自衛隊イラク派遣の活発な議論に対し、あまりにも「報復テロ」に対しての警戒は手薄だと言わざるを得ません。
●金融資産の防衛
 では、私たちは自分の金融資産をどのように防衛すべきでしょうか。この場合の金融資産とは、前回のセミナーで書きました「個人資産の3分割」の「長期で保有する金融資産」のことです。
 短期的に見ても身近に危険な状況があり、何が起きても不思議ではないというのが現実だと思います。まして長期的に見れば、これが絶対安全と断言できるようなものはありません。であれば、やはりいろいろなところに分散しておくしかないという結論になります。
 中でも通貨の分散は、必須事項となります。以前の繰り返しになりますが、単純にドルやユーロに変えればいいというわけではありません。金融機関も問題になります。
 例えば、日本の金融機関だけに資産を保有していた場合、それが健全な金融機関でドルやユーロに分散していたとしても、日本全体のことを考える(?)金融庁の動向(=政府の動向)によっては、どんな処置がなされるのかわかりません。健全、不健全に関わらず同じリスクを背負うことになります。
 このように考えると、やはり国際的に資産を分散することが、たいへん重要になります。最近では、国際分散投資を勧める本やホームページが数多く見受けられますし、資産家の方とお話をしますと必ずこの話題になります。実際に香港に銀行口座を開設したり、海外のヘッジファンドを購入したりする方も増えてきています。

●2つの壁

 ところが、ここで大きな問題が2つあります。
 ひとつは、ことばの壁です。国際的な分散をする場合、必ずと言っていいほど英語が必要になります。
 もう一つは、情報のないことです。日本は、金融鎖国と言っていいほど海外の金融機関の情報が一般的には入ってきません。情報のないことほど不安なものはありません。そんな不安なところに大切な資金を預けることなど到底出来ることではありません。
 この2つの大きな壁によって、日本人はほとんどの金融資産を日本国内の金融機関に預けています。だからこそ金利がほとんど0%にも関わらず、銀行預金や郵便貯金から資金が下ろされることもなく、したがって国債の大量発行も可能となり、今の状況があるのです。
 この壁を乗り越えることは出来ないのでしょうか。
●ことばの壁
 まず、ことばの壁ですが、一番簡単なことは通訳を雇うことです。しかし、これは費用もかかりますし、なかなか敷居の高いことです。
では、日本語の通じる海外の金融機関はないのでしょうか。実はハワイには、日本語の通じる銀行があります。ハワイであれば、海外旅行に行く方も多いと思いますし、日本人には結構身近なところです。ここで銀行口座を開設されてはいかがでしょうか。ハワイは、米国ですから当然日本の金融庁の管轄ではありません。
●情報不足
 次に情報不足は、どのように解決すればいいのでしょうか。
 情報といっても金融機関の格付け情報であれば、今ではインターネットがありますので、ここでムーディーズやS&Pなどのホームページから海外の金融機関でも調べることはできます。
 また、世界的に知名度もあり、日本に子会社もある、例えばAIGやINGといった金融グループの海外の保険会社の年金に資金を移されるというのも安全性を考えれば良いと思います。格付けも日本の金融機関とは比較になりません。
●ご相談を
 このように書きましてもやはり一般的には、具体的な金融商品の情報などはなかなか入手できません。また法的な問題もあり、詳細をここに書くこともできませんので、もし興味のある方は、個別にご相談いただければと思います。遠慮なくお申し出下さい。

筆者:Progress International Consulting Co.,Ltd.
浅野 浩
asano@progress-international.com