それでは私たちは今後どのような対策を取ったらいいのでしょうか。
先月のセミナーで戦前戦後のハイパーインフレの話を書きました。物価が72倍になり、720万円のお金の価値が、10年後には10万円の価値になってしまったというあの話です。
ほとんどの日本人は、この時一気にそれまでの資産を失いました。しかし、中にはごく一部ですが、このハイパーインフレにも関わらず資産を保全し、さらに大きく増やした方もあったようです。当時の財閥のトップの方は、スイスのプライベートバンクに資産を分散され、見事にこの危機を乗り切ったという話です。
この話は、本当の話かどうかはわかりませんが理論的には裏づけができます。
つまり、財閥のトップの大富豪の方は、スイスのプライベートバンクに資産を預けることにより、いろいろな国の金融商品を保有し、通貨の分散もしていたのです。
日本にハイパーインフレが起きていた時、円は大暴落しました。ドルで比較しますと、逆にドルは急騰し、10年間で約84倍の「円安ドル高」になっっていたのです。
1940年当時、1ドル=約4円30銭でした。
ところが、1950年には、1ドル=360円になりました。
1940年に10万円をドルに換えると約23,256ドルでした。
1950年に23,256ドルを円に換えると約837万円になりました。
10万円が、10年間で837万円になったのです。(資料2 参照)
|
このことにより、戦前(例 1940年)に海外にドルで資産を保有していた方は、戦後(例 1950年)約84倍になって還ってきたことになります。(この間には、金利もついて実質150倍以上になったと思われます。)
インフレが、約72倍ですのでこのような対策をされた方は、見事インフレに勝る運用をされたというわけです。
今後、日本がこれほどの経済変動に見舞われるかどうかはわかりません。しかし、もしその可能性が少しでもあるならこのような対策をとるべきではないでしょうか。
もし、日本に何ごとも起こらず、平和に大借金の処理がなされたならば、そのときは、単にドルで運用していただけのことで特に問題はありません。もともとドルは金利も高いので、5年以上預ければ為替リスクは利息により吸収され、あまり問題にならなくなります。
それでもあえてリスクを考えるとすれば、「日本では平和に大借金の処理がなされ、米国は経済ががたがたになり、1ドル70円以下のドル大暴落状態」になった時です。
しかし、現実的には日本は米国にほとんど従属している状況にあり、このシミュレーションは、机上の空論だといえます。(米国ががたがたになる前に日本が犠牲にされます)
|